会議中に相手の映像が固まる、声がロボットのようになる、突然接続が切れる。こうした「途切れ」は、Wi-Fiの不安定さが原因のことが多い一方で、回線やPC、アプリが原因のことも少なくありません。この記事では、有線LANを試すことで原因を切り分ける手順と、そのために必要な機器をまとめます。
声が出ない・入らない・小さい・ハウリングする場合は、この記事ではなくWeb会議の音声トラブル(HW03)を確認してください。
この記事でわかること
- 「途切れる」の症状の分け方
- Wi-Fiが原因かを切り分ける順番
- 有線LANを試す意味と、必要なもの
- LANポートがないPCの場合
- 速度だけでなく、安定性を見る考え方
- 有線にしても直らないときの次の一手
症状:どれに近いか
| 症状 | 可能性が高い原因 | この記事で見る場所 |
|---|---|---|
| 相手の映像が固まる・カクカクする | 回線の不安定さ、PC・アプリの負荷 | 切り分けの手順 |
| 相手の声がロボットのように途切れる | 回線の不安定さ(遅延・パケットの損失) | 切り分けの手順 |
| 自分の声や映像が相手側で途切れる | 上り(アップロード)の不安定さ | 切り分けの手順 |
| 会議から突然落ちる・再接続される | Wi-Fiの切断、回線 | 切り分けの手順 |
| 声が入らない/聞こえない/小さい/ハウリング | 機器や設定 | HW03へ |
先に5分でできる確認
- 同じ場所で、他の機器(スマホなど)のWi-Fiも不安定か?
- 他の機器も不安定 → Wi-Fi・ルーター・回線の可能性
- 会議のときだけ不安定 → PC・アプリ、または上りの帯域の可能性
- 別のアプリ(動画視聴など)は途切れないか?
- 会議アプリを入り直す/PCを再起動する
- カメラをオフにして途切れが減るか(映像の負荷を下げる)
- 他のアプリやブラウザのタブを閉じる(PCの負荷を下げる)
ここで直る場合は、PCやアプリの負荷が原因のことがあります。直らない場合は、次の「有線で試す」に進みます。
Wi-Fiが原因かを切り分ける:有線で試す
いちばん確実な切り分けは、一時的に有線LANでつなぐことです。
- ルーターの近くにPCを持っていく(ケーブルが届く範囲)
- LANケーブルで、PCとルーターをつなぐ(ルーターの「LAN」ポートへ。「WAN」「インターネット」と書かれたポートではありません)
- Wi-Fiをオフにする(Wi-Fiも入ったままだと、どちらを使っているか分からない)
- 同じ会議アプリで、途切れが減るかを確認する
| 結果 | 意味 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 有線で安定する | 原因はWi-Fi側(距離・干渉・ルーター・端末)の可能性が高い | 有線化を続ける、または Wi-Fi環境を改善 |
| 有線でも途切れる | 原因はWi-Fi以外(回線・ルーター・PC・アプリ)の可能性 | 「改善しない場合」へ |
一度の試験だけでは判断できない場合があります。時間帯を変えて、数回試してください。
有線LANを試す意味
有線は、Wi-Fiより電波の干渉や距離の影響を受けにくく、通信が安定しやすいのが一般的です。会議では、最大の速度よりも、途切れないことが重要です。
ただし、有線にしても回線そのものが混んでいる、PCが重い、アプリの問題といった原因は解決しません。だから最初に「試して切り分ける」のが大切です。
必要なもの
1. LANケーブル
- ルーターからPCまで届く長さを測る(余裕を持たせる)
- ケーブルの規格・長さ・太さの選び方は、LANケーブルの選び方(NW11)
- 床や廊下を通す場合は、踏んだり、ドアで挟まない経路を選ぶ
2. LANポートがあるPCか、確認する
- 多くの薄型ノートPCにはLANポートがありません
- ポートの有無は、PC本体の側面・背面を見るか、型番の仕様で確認する
3. LANポートがない場合:USB-LANアダプター
- USB端子(USB-AかUSB-C)に挿して、LANケーブルをつなぐ機器
- 選び方はUSB-LANアダプターの選び方(US04)
- 確認点:PC側の端子(A/C)、対応OS、通信速度の規格(1Gbpsか2.5Gbpsか。速度の考え方はNW04)
- 挿しても反応しない場合は、USB機器が認識されないときの確認順(US07)
4. ルーター側のLANポート
- ルーターの空きLANポートがあるか確認する。ない場合は、スイッチングハブ(ポートを増やす機器)が必要になることがあります
- ルーターの状態が不安な場合は、ルーターの故障診断と買い替え(NW02)
速度だけでなく、安定性を見る
回線の速度テストの数値が高くても、会議が途切れることがあります。会議で重要なのは、次の点です。
| 指標 | 意味 | 見方 |
|---|---|---|
| 遅延(ping) | 通信の往復にかかる時間 | 大きいと、会話にズレが出る |
| ジッター | 遅延のばらつき | 大きいと、声が途切れやすい |
| パケットロス | 届かなかったデータの割合 | 0に近いほど良い |
| アップロード速度 | 自分の映像・声を送る速度 | 低いと、相手側で自分が途切れる |
Zoomなど一部の会議アプリには、通信状況の統計を表示する機能があります(名称や場所はバージョンで異なります)。会議中に遅延やパケットロスが大きく出ていないかを見られれば、原因の手がかりになります。
ルーターとの距離・置き場所
有線にできない場合は、Wi-Fiの環境を見直す方法があります。
- ルーターに近づく。壁や床を挟むと、電波が弱くなる
- ルーターを床から離し、見通しの良い場所に置く
- 電子レンジなど、電波に影響を与える機器から離す
- 5GHz帯と2.4GHz帯を切り替えて試す(5GHzは速度向上しやすいが障害物に弱く、2.4GHzは届きやすいが干渉を受けやすいのが一般的)
改善が見込めないときは、機器の追加を検討します。
- 広い家・複数階 → メッシュWi-Fi(NW05)
- 一部の部屋だけ弱い → Wi-Fi中継器(NW06)
- Wi-Fi全般の改善 → Wi-Fi改善ガイド(NW01)
やってはいけないこと
- 原因を切り分ける前に、ルーターやアダプターを買い足す:回線やPCが原因なら、買っても直りません
- ルーターを初期化する/設定を変える:接続情報(IDやパスワード)が分からなくなると、ネットに接続できなくなります。変更する前に、現在の設定を控える
- ケーブルをWANポートに挿す:ルーターの「LAN」ポートに挿す
- 出所の分からない「高速化ソフト」「Wi-Fi改善ツール」をダウンロードする:不審なソフトが入るおそれがあります
- 会議の直前に、機器の構成を大きく変える:直らなかったときに、会議に出られなくなります
- 知らない相手に、遠隔操作(リモートサポート)を許可する
改善しない場合
有線でも途切れるとき、次の順に確認します。
- PCの負荷:他のアプリを閉じ、タスクマネージャーでCPUやメモリが高止まりしていないか見る
- 会議アプリの設定:画質を下げる、カメラをオフにして様子を見る
- 同じ回線の他の利用:同時に動画視聴や大容量のダウンロードをしている人がいないか
- ルーターの再起動:電源を切り、数十秒おいて入れ直す(初期化とは別)
- 回線・契約:時間帯によって遅くなる場合は、契約している事業者に確認する。自宅の問題か、事業者側の問題かの切り分けは、事業者への問い合わせが必要なことがあります
- 声が入らない・聞こえないことが主な症状なら、HW03へ
商品について
この記事は、原因を切り分けるための記事で、特定の商品をおすすめするものではありません。有線化することになった場合に限り、次の記事を参考にしてください。
- LANケーブル:NW11
- USB-LANアダプター:US04
【Amazon商品候補:なし(切り分け後にNW11・US04へ誘導)】
自分で切り分けられないときの相談
「Wi-Fiが原因なのか、回線なのか分からない」「LANケーブルやアダプターをどう選べばよいか不安」というときは、WELLの出張サポート(埼玉県内)で、原因の切り分けと、Wi-Fi・有線LAN環境の確認をお手伝いできます。いつ・どんな会議で途切れるかを伝えていただくと、確認がスムーズです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 有線LANにすれば、必ず途切れなくなりますか?
必ずとは言えません。有線はWi-Fi由来の不安定さを減らしやすいですが、回線の混雑やPCの負荷が原因の場合は、改善しません。まず有線で試して、原因を切り分けてください。
Q2. LANポートがないノートPCでも、有線にできますか?
USB-LANアダプターを使えば、有線につなげます。端子の形(USB-A/C)と対応OSを確認してください。
Q3. Wi-Fi 6や6Eにすれば解決しますか?
Wi-Fiの規格だけでは決まりません。距離・干渉・回線・PCの状態も影響します。まず有線で試して、原因を切り分けてください。
Q4. 速度テストは速いのに、会議が途切れます。
速度だけでなく、遅延・ジッター・パケットロスなどの安定性が影響します。上りの速度も確認してください。
Q5. ルーターから遠い部屋で、有線にできません。
ルーターに近づく、置き場所を変える、メッシュWi-Fiや中継器を検討する、の順に検討してください。
Q6. 声が出ない・入らないのは、この記事で解決しますか?
別の問題です。HW03を確認してください。
まとめ
- 「途切れる」は、有線で試すと、Wi-Fiが原因かどうかを切り分けられる
- 有線で安定すれば、Wi-Fi側に原因。直らなければ、回線・PC・アプリ側
- LANポートがなければ、USB-LANアダプター(US04)、ケーブルはNW11
- 会議は最大速度より安定性(遅延・ジッター・パケットロス・上り)
- 声が出ない・入らないのはHW03。ルーターの初期化や不審なツールの導入は避ける
参考にした情報(確認日:2026年10月14日)
- Zoom Support「ミーティングと電話の統計情報にアクセスする」(Zoom Workplaceデスクトップアプリで統計を開く手順と、遅延・ジッター・パケット損失の項目を確認)
- Microsoft Support「Monitor call and meeting quality in Microsoft Teams」(会議中の「その他の操作」→「設定」→「通話の正常性」と、ネットワーク・音声・映像のリアルタイム指標を確認)