スマホもタブレットもノートパソコンも、USB-Cで充電できるようになり、充電器を1台にまとめたい人が増えています。ただし、W(ワット)数が足りないと、パソコンが充電されない、または非常に遅い、ということが起こります。この記事は、実際に製品を試して書いたものではなく、規格団体とメーカーの公開情報をもとに、必要なW数の調べ方と選び方を整理したものです。
なお、ノートパソコン純正のACアダプターが壊れた、合わないという場合は、ノートPC用ACアダプターの選び方 が近い内容です。この記事は、USB-C充電器を新しく選ぶ人向けです。
選ぶ基準は、次の3つです。
- いちばん電力が必要な機器に合わせる。 ノートパソコンは、付属のACアダプターに書かれたW数と同じか、それ以上を選ぶのが基本です。
- ケーブルも同じW数に対応させる。 充電器・ケーブル・機器のすべてが対応して、初めて高出力で充電できます。
- PSEマークと事業者名が表示された製品を選ぶ。
W数の大きい充電器をつないでも、壊れるわけではありません。USB PD(USB Power Delivery)では、機器が必要な電力だけを受け取ります。
まず、必要なW数を調べる
ノートパソコンの場合
ノートパソコン付属のACアダプターに、出力が書かれています。たとえば「20V 3.25A」と書かれていれば、20×3.25=65Wです。この65W以上のUSB-C充電器が、パソコンに必要な目安になります。
次に、パソコンのUSB-C端子が、充電(USB PD)に対応しているかを確認します。USB-C端子があっても、充電に対応していない機種があります。パソコンのメーカーの仕様表で、「USB Power Delivery」「USB-Cによる給電」などの記載を探してください。
スマホ・タブレットの場合
オウルテックのコラム(2026年9月9日更新)は、スマホの急速充電は20〜45W程度が主流、タブレットはiPadの例で15〜45Wで急速充電できるとの記載がある、としています。機種ごとの正確な数値は、メーカーの仕様で確認してください。
目安のまとめ
| つなぐもの | 目安 |
|---|---|
| スマホだけ | 20〜45W程度(機種で異なる) |
| タブレット | 15〜45W程度(iPadの例。機種で異なる) |
| ノートパソコン | 付属ACアダプターと同じか、それ以上 |
| ノートパソコン+スマホを同時に | パソコンのW数+スマホのW数を満たす、または同時使用時の配分を確認 |
大きいW数の充電器は、壊れる?
壊れません。USB-IFの公式ページは、USB PDでは各機器が必要な電力だけを取得する仕組みだと説明しています。たとえば65Wの充電器に、20Wで足りるスマホをつないでも、スマホは必要な分だけを受け取ります。
逆に、W数が足りない充電器では、パソコンが充電されなかったり、非常に遅くなったりします。迷うときは、必要なW数より大きいものを選ぶのが安全です。
ケーブルも確認する
見落としやすい点です。オウルテックのコラムは、ケーブルのW数について、次のように説明しています。
- ケーブルの「60W」「100W」「240W」は、流せる電力の上限
- 急速充電には、充電器・接続機器・ケーブルのすべてが、同じ電力に対応している必要がある
- たとえば、機器と充電器が60Wで、ケーブルが100Wなら、充電は60Wで行われる。ケーブルのW数が大きいのは問題ない
- 60Wを超える電力に対応するケーブルには、ケーブルの能力を機器に伝える小さなチップ(e-Marker)が入っている。100Wや240Wをうたってe-Markerがない製品には、注意が必要
つまり、65Wの充電器でノートパソコンを充電するときは、60W以上のケーブルが必要で、100W対応のケーブルがあれば余裕があります。ケーブルの詳しい選び方は USB-Cケーブルの選び方 にまとめています。
USB-IFの公式ページによると、USB PDの規格は、最大240Wまで拡張されています(以前は100Wまで)。240Wで使うには、フル機能のUSB Type-Cケーブルが必要です。ただし、240Wに対応する機器は、まだ限られます。ご自身の機器がそのW数を必要とするか、確認してください。
複数ポートの充電器を選ぶとき
複数のポートがある充電器は、同時に使うと、出力がポートごとに分けられることがあります。「合計最大100W」と書かれていても、2台つなぐと、パソコン側に届くW数が下がる場合があります。
商品ページやメーカーのサイトで、同時に使うときの出力を確認してください。パソコンとスマホを同時に充電するなら、そのときにパソコン側に何Wが出るかが大切です。
安全面:PSEマークを確認する
九州経済産業局の案内によると、電気用品には、PSEマークと届出事業者名などの表示が義務づけられています。表示がない製品は、国の定めた技術基準に適合していない可能性がある、とされています。なお、経済産業省の案内では、PSEマークにはひし形と丸形があり、どちらも届出事業者名とあわせて表示することになっています。どちらの形が付くかは電気用品の種類で決まるため、ここでは形の違いではなく、マークと事業者名の表示があるかを見てください。充電器は、PSEマークと事業者名が表示された製品を選んでください。
公式仕様の読み方の例(Anker Nano II 65W)
次の製品は、当サイトで使ったことはありません。メーカーの公式ページ(2026年10月17日確認)の記載を、仕様の読み方の例として整理します。購入を勧めるものではありません。
| 項目 | Anker Nano II 65W(型番:A2663115=黒、A2663125=白) |
|---|---|
| ポート | USB-C×1 |
| 最大出力 | 65W(5V/3A、9V/3A、15V/3A、20V/3.25A) |
| 規格 | USB Power Delivery対応 |
| 大きさ・重さ | 約44×42×36mm、約112g |
| ケーブル | 付属しない(別売り) |
| 注意点 | 公式ページに、MacBook Pro 16インチは充電できるが、付属の充電器より遅い旨の記載がある。確認時点で「在庫わずか」の表示 |
この例から分かるのは、次の2点です。
- 「最大65W」は、機器とケーブルが対応して初めて出る数値。ケーブルは別に用意する
- 付属の純正充電器より小さいW数だと、遅くなることを、メーカー自身が書いている
購入前に、販売ページの型番、色、セット内容が、確認した公式ページと一致しているかを見てください。
買う前の最終チェック
- パソコンのUSB-C端子が、PD充電に対応している
- 付属ACアダプターのW数を調べ、それ以上のものを選んだ
- ケーブルが、必要なW数に対応している(60W超なら100W対応を確認)
- 複数ポートなら、同時使用時の出力を見た
- PSEマークと事業者名の表示がある
- 販売ページの型番とセット内容が、公式ページと一致している
充電や接続で迷ったら
充電できない、どの充電器やケーブルが合うか分からない、という場合は、WELLにご相談ください。埼玉県内で、パソコンやスマホの周辺機器の確認まで、ご自宅に伺って対応しています。
よくある質問
Q. 45Wと65Wの充電器は、どちらがいいですか?
ノートパソコンを充電するなら、付属ACアダプターのW数を確認して、それ以上のものを選びます。スマホやタブレット中心なら、45Wで足りる機種が多い一方、機種により異なります。
Q. 純正より大きいW数の充電器を使うと、危険ですか?
USB PDでは、機器が必要な電力だけを受け取る仕組みです(USB-IFの説明)。ただし、PSEマークのない製品や、規格外のケーブルは避けてください。
Q. 古い充電器は使えますか?
USB-Cで、PDに対応していない古い充電器は、ノートパソコンの充電には向きません。W数と、PD対応の表記を確認してください。
Q. ハブを通して充電できますか?
ハブ自体も電力を使うため、パソコンに届く電力は減ります。詳しくは USB-Cケーブルの選び方 のほか、USB-Cハブの記事を参照してください。
まとめ
- 必要なW数は、付属ACアダプターの表示(V×A)で調べる
- 大きいW数の充電器は壊れない。機器が必要な電力だけを受け取る
- ケーブルも同じW数に対応させる。足りないと、そのW数まで下がる
- 複数ポートは、同時使用時の出力を確認する
- PSEマークと事業者名の表示がある製品を選ぶ
参考にした情報(確認日:2026年10月17日)
- USB-IF「USB Power Delivery」
- オウルテック「USB Type-Cケーブルの60W/100W/240Wは何が違う?」(最終更新:2026年9月9日)
- Anker Japan「Anker Nano II 65W」製品ページ
- 九州経済産業局「電気用品には、PSEマークの表示が義務づけられています」